トップ
サービス案内
税務会計ニュース
今月のお仕事
事務所案内
お問合せ
お知らせ
作成日:2019/04/19
JALの奇跡

 わたしが所属する某団体で、JALの飛行機整備工場の見学に行くことになった。団体組織で動く企画のため、主導する研修研鑽委員会という立派な名前の小部会が「見学の趣旨」というような大義名分を後付けで考えたりしている。この見学は団体としては一応、研修旅行という位置づけであり、そのために組織的エクスキューズを作っているわけだが、要は遠足である。
 実際、当日参加する人々はそのつもりで、バスの中で酒飲んでわいわい楽しく行くのだから、最初から「遠足」だといえばよさそうなものだと思うのだが、一応、体裁が大事だというわけである。
 政治家の視察旅行とか、リクツと作文が得意な官僚組織とかをイメージしたりしながら、わたしも後付け趣旨の作成に参加している。

 とはいえ、組織には旗振り役が必要だし、その振っている旗にかかれる「文言」にも大きな意義があるということも理解している。構成員がある程度同じような意識で、ある程度同じ方向を見て動かないと、組織行動にはなりえないだろう。
 その為に掲げる「文言」は後付けであろうとなかろうと、組織内での審議プロセスを経て、コンセンサスを得ることで、組織として公式なものとなる。

 それはまさに会社経営でも同じであるといえる。個人的にはこれをいい機会と捉えて、JAL関連の書籍を数冊読んでいるのだが、京セラの稲盛和夫氏が導入したフィロソフィー(行動哲学)とアメーバ経営(部門別採算制度)がJALを奇跡的に復活せしめ、のみならず現在まで継続的に高収益を維持するエクセレントカンパニーにした。
 では、JAL再生にあたって稲盛氏が掲げた旗(経営理念=会社の存在目的、存在理由)はなにかといえば、

 「全社員の物心両面の幸福を追求する。」

というものである。その理念の土台の上に、全社員の行動哲学としての「JALフィロソフィー」を構築。このフィロソフィーの中には、

 「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」・「人間として何が正しいかで判断する」

 といった、社員(人)としての判断基準、行動基準が明確に示されており、社員ひとりひとりが絶えないフィロソフィーの意識づけと、それに従った行動判断をしている。

 ある組織が、この人間社会で認められるための根本はひとりひとりの正しい(善き)意識に基づく正しい(善き)行動、そして、それらの人を束ねる正しい(善き)目的であることを改めて強く感じさせられている。
                                           山鹿 真吾