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作成日:2010/01/29
企業戦士を訪ねて

 4月から私達の生活が別紙の如く変化します。マスコミ報道によれば、いざなぎ景気を超える好況が続いているということですが、これは大企業を中心としたマクロ経済での話で、県内の地価公示でも殆んど下落しており、当地方における中小零細企業に好況の実感は全くないと思われます。
このような数値と、社会保障費の数値を基に国民負担率の上昇のみがどんどん具現化されていくように思うのは単に私一人の妄想でしょうか?
 景気認識にしても景気過熱を心配する余り金利を上げるべきだとか、世代間の負担の公平といった事もいわれているようですが、一方で戦後の日本経済の発展を支えた官僚システムの制度疲労や政官業の癒着による多くの無駄遣いも指摘されております。
アクセルを踏むべき時にブレーキを踏んで失敗した政策ミスの教訓はどこにも生かされていません。
 団塊世代の一人として言わせて貰うならば、少子高齢化を心配する余りプライマリーバランスの均衡を急ぐ必要はないと考えます。もっとスローに生きることを国民が指向すればの話ですが・・・?
アメリカ等先進国はこの問題をどう解決したのでしょうか?じっくりと聞いてみたいものです。
 話は変わりますが、NPO法人希望でも御協力をいただいている三桜工業鰍フ海外駐在員の金井さんの会社を訪ねて、地球の裏側に位置するブラジルへ行ってきました。
平均月給3万円の国で、かつて戦後の厳しい時代に日本人が笠度丸に乗船して43日間もかかって移民した国、日本の24倍の面積と資源に恵まれた国で、BRICS(ブリックス)と呼ばれる現在最も発展を遂げている国(ブラジル、ロシア、インド、中国)の一つ、エタノールと呼ばれる石油代替資源をさとうきびから採取している国でもあります。
 先日もNHKのアンコール放送で「ハルとナツ」を放送していましたが、現地ではお年寄りが毎日毎日このDVDを涙を流してご覧になり、会社で貸し出したDVDが一週間以上も返って来なかったとか・・・。
私達ブラジル視察一行も涙と共にこの作品を鑑賞させていただきました。
 そんなブラジルへの旅はインドに続いての2回目の試みでしたが、彼は当時よりさらに誇り高き企業戦士に成長していました。
遠い異国の地で、日本人の部下一人とポルトガル語と英語が話せる10人位のスタッフ、ポルトガル語しか話せない50人位のワーカーといった陣容でしたが、何から何まで会社の方針を受け止めた彼の意思が貫徹され、10年前のインドの時よりはるかに近代的な様相に深く感動しました。
 一例を挙げると、資材の購入時期が一目で判るようにカラーで目印をつけ先入先出を徹底させ材料の劣化を防いだ事、工場内の配線を天井からではなく床に溝を掘って視界をさえぎるものをなくし、大変スマートにした事、工場床を貨物車の荷台と合わせて段差をなくし製品輸送籠にはキャスターをつけてスムーズに運搬出来るようにした事、屋根の採光に工夫を凝らし電気代の節約に努めた事、管理室を入口に近い中2階の位置にとり、工場内が一望でき、すぐに指示が出せるようにした事、整理整頓にはことさら厳格で、ほこり一つたたないよう各セクションでの指示が徹底していました。ゴミが落ちているの発見した時には、残業管理が徹底している中であっても作業を中断させ責任者を通じてワーカーに徹底するという厳しさでした。
 彼の部下の城丸氏によると、金井社長は世界に誇れるブラジル工場にしたいという強い信念をもっており、自動車メーカーのホンダ、トヨタの担当者、他の部品会社の現地社長との交流にも積極的で、生産管理の面だけではなく、営業や人的交流の面でもお互いに知恵を出し合っているという事でした。
 「企業は人なり」といいますが、日本経済の伸張発展も多くの企業戦士によって行われ、多くの日本人はその恩恵に預かっている事を強く感じた10日間でした。
又、特筆すべきは現地のスタッフを大事にし、将来の社長や幹部を現地の人から養成したいとの強い信念で幹部養成などにも大変力を注いでいる事が印象的でした。
これが本当に共生という意味なのでしょうか、会社にとってもかなりの経費削減になると思われます。
 「スタッフは信頼するが信用はしない」という「まかせっきりにしない経営」と共に自分の胸に深くきざませていただきました。
 本当に遠くて厳しい旅でした。冥土の土産になった事と思います。
 ハイセンド・ブラジル・ラミターダの皆様大変お世話になりありがとうございました。

                        2006年4月  桑 原