3年ぶりの“行動制限なし”ゴールデンウイークとなりました。久しぶりの各地の賑わいの
映像を見て、新緑と共に子供たちの笑顔に少しほっとする気持ちになりました。また、この
時期さまざまなスポーツの春季大会もあり、競技場での歓声も懐かしい感じがしました。
連休前には知床観光船の傷ましい事故がありました。運営会社の責任も明らかになってき
ています。
アメリカの損害保険会社の安全技師であったハインリッヒが発表した法則(1:29:300)、
「同じ人間が起こした330件の災害のうち、1件は重い災害(死亡や手足の切断等の大事
故のみではない。)があったとすると、29回の軽傷(応急手当だけですむかすり傷)、傷害
のない事故(傷害や物損の可能性があるもの)を300回起こしている。」というものです。
この比率については現場で直接働く人、事務などの間接的に働く人では自ずと異なってく
ると思いますが事故と災害の関係を示す考え方としては十分に活用できるのではないでし
ょうか。
同じように、バードの事故比率があり、297社の175万件の事故報告を分析して、1(重傷
又は廃失):10(傷害):30(物損のみ):600(傷害も物損もない事故)の比率を導き出しています。
厚生労働省の「ヒヤリ・ハット事例(全412件/令和3年5月11日時点)」によると最も
多いのが「墜落・転落(76件)」。具体的には「トラックに荷物を積込み作業中、荷台か
ら転落しそうになった」「脚立の上で電球交換作業中、バランスを崩した」「メモを取りながら
歩いて、階段を踏み外した」など、高いところからの転落事例が挙げられています。
続いて多いのが「飛来・落下(48件)」と「転倒(48件)」。具体的に「飛来・落下」
は、「立て掛けたまな板が倒れ、指がはさまれそうになった」、「転倒」は「濡れた床で足が滑り転倒しそうになった」などです。
手間や労力、時間、コストを省くことを優先し、つい「これくらいは大丈夫だろう」「面倒
くさい」「皆がやっているから」といった考えや、「長年経験しているから大丈夫」「自分が
事故を起こすはずがない」といった慣れや過信によって、作業の「あるべき姿」から逸脱し
起こることも少なくありません。まずはこうした自分自身の意識や心構えを変えていくこと
が重要だと思いました。それ自体が自分自身を事故、災害から唯一守れる方法ではない
でしょうか。
2022年5月
横 山